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野球共育セミナー

3回「はがくれ野球共育セミナー」参加報告

鶴田整形外科
理学療法士 柳本大輔

野球に関わる方々の「学びの場」として、職種の垣根を越え集い高め合い、共に育み、得た知識・技術や人脈を活かして、地域に貢献していけるような「ひとづくり」をしていくことを目的に始まった“はがくれ野球共育セミナー”(第3回)が、平成24115日(日)に佐賀県小城市のドゥイング三日月で開催された。このセミナーのコンセプトは、ジュニアからプロ野球選手まで対応できる「サポートスタッフの育成」と「野球現場と医療のネットワークづくり」である。

今回のセミナーは“成長期野球肘『上腕骨小頭障害』と超音波検診”というテーマで、東京厚生年金病院の柏口新二医師、同病院中央検査部の石崎一穂氏、野球コンディショニングコーチの能勢康史氏の3人による講演が行われた。また、セミナー終了後には同敷地内にある体育館にて小中学生を集め野球肘検診が開催された。

医師・理学療法士・柔道整復師・鍼灸師・など医療従事者と現場指導者など約60名が参加した。参加者はそれぞれの講師の話を真剣な眼差しで聞き入り、講演後には活発な質疑・応答があった。

石崎氏は“運動器超音波の基礎と野球肘の診かた”と題して、整形外科領域での超音波検査の有用性を説き、診断と治療の質を向上させていることを多くの映像を用いて分かりやすく説明された。そして、OCD(離断性骨軟骨炎、上腕骨小頭障害)が超音波画像ではどう捉えられるかという事を示され、早期発見が可能であると語られた。柏口医師は“上腕骨小頭障害の治療と予防”と題して、長年蓄積された緻密なデータと自身の経験を元にその病態と対応について語られた。「徳島では30年以上にわたり野球肘検診を行っており、数年前から超音波を用いたことによりOCDの発見件数が2倍になった」と話し、少しでも多くの野球選手をOCDから予防し重症化させず野球を長く続けられるようにするためにも、野球肘検診は必要であると熱く語られた。能勢氏は“野球選手の育成について〜トップレベル選手の育成過程と障害の実態〜”と題し、「選手として最も成長した時期は高校生の時期が最も多く、次いで大学だったということから、ジュニア期というのは、本格的に野球をやる段階へ向けての準備をする段階である」と語った。総合ディスカッションは、能勢氏・柏口医師に加え、高校野球解説者の弘川氏によるもので、弘川氏は「いいボールは初球から打ちに行く姿勢・心構え」を唱え、積極性の大事さを強調された。

 午後からは、野球肘検診が開催された。この野球肘検診は地元の小学生を中心に約100名が参加し、5台のエコーを用いスクリーニングをしようとする佐賀では初の試みであった。参加者や検診のスタッフは初めてのことに戸惑いながらもなんとか検診は無事終了した。  初開催であった検診も2時間というあっという間に終了したが、来年、再来年と野球肘検診の更なる発展への気運が高まりつつあると感じた。


講演の様子




野球肘検診